「命をかけて、かかってこい!」
劇場版ポケモン2作目『幻のポケモン ルギア爆誕』の予告編にてドヤ顔で盛大に煽っておきながら本編ではボツとなってしまった、ファンの間では有名なルギアの迷言である。
そもそもサトシとルギアが争うシーンは一切ないし、むしろ共闘するシナリオに変更?されてるし、果たしてあの映画予告は何だったのか・・・。キリッとドヤ顔をさせられたルギアが不憫でならない。
さて、冒頭から小ネタに走ってしまったが、今回はそんな裏話や制作秘話的なところにスポットを当ててみようと思う。
「小ネタまとめるとか映画の出来が悪いの?」なんて思われるかもしれないが、決してそんなことはない。本作はポケモン映画のなかでも屈指の作品に仕上がっている。そのあたりは感想にまとめてあるので、お時間があればぜひ。
目次
『幻のポケモン ルギア爆誕』ってどんな映画?
伝説のポケモンが4匹も登場するという超豪華作。また、普段はサトシ達といがみ合っているロケット団が大活躍する、ロケット団ファンにとっても見逃せない一作となっている。
引用元:MIHOシネマ
【作品情報】
監督:湯山邦彦
脚本:首藤剛志
出演:松本梨香、大谷育江、飯塚雅弓、関智一、山寺宏一
主題歌:安室奈美恵『toi et moi』
公開:1999年
ちなみに、問題のルギアのボツシーンが登場する映画予告は『ポケモン映画 プレイバック・ザ・ヒストリー』という公式サイトにアップされているので、気になる方はぜひ観てみてほしい。ポケモンの劇場版映画作品の内容がまとめられており、他の過去作品についても懐かしの予告などを観られるので、ポケモンファンにとってはなかなか嬉しいコンテンツだ。
『幻のポケモン ルギア爆誕』の裏話小ネタまとめ
どんな映画作品にも、裏話や小ネタ、制作秘話的なものは付き物であるが、本作のネタはなかなかの粒揃いだ。
その中から、特に気になるネタを8つご紹介しよう。
安室奈美恵のエンディング曲は失敗だった!?
なななんと本作のエンディング曲には安室奈美恵が起用されているのだが、実はここに大きな問題が生じていたのだ。
「え、エンディングおかしくね?」
よっぽどセンスが斜め上でなければ、映画をエンディングまで観た人はこう思うはずである。
そう、本作のエンディング曲、安室奈美恵が歌う『toi et moi』が、映画の雰囲気に全くもって合っていないのである。1mmも、いや、1ymも合っていないのだ。
決して安室奈美恵が悪いわけではない。
映画の脚本を担当した首藤剛志は、このエンディング曲についてこう述べている。
「何を言いたいのか分からない聞き取りにくい歌詞と、うんざりするほど聞きなれたオリジナリティのないポップ調の曲が、まるで作品内容にあっていない。おそらく、アニメ脚本どころか、『ポケモン』がどんなゲームかすら知らずに作られた曲なのだろう。10年たった今も、聞くとがっかりする。」
なぜこうなってしまったのか、このエンディング曲が世界にとって幻であることを願いたい。
迷言「命をかけて、かかってこい!」は見捨てられていなかった
本記事の冒頭でも触れたルギアの迷言「命をかけて、かかってこい!」は、映画予告でつかわれたにも関わらず本編には登場しなかった幻のセリフである。
しかし、これに見かねたのかどうかは分からないが、映画公開から約6年後に発売されたゲーム『ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊・赤の救助隊』にて、ダンジョンのボスとして登場するルギアのセリフで使われたのだ。
ファンにとっては、なんとも嬉しいサプライズである。
ちなみに、ニンテンドーDS版・アドバンス版として発売されたこのゲームのリメイク版『ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX』が、ニンテンドースイッチで発売されている。
『光輪の超魔神フーパ』に登場するルギアは本作と同一個体である
2015年に公開された映画『ポケモン・ザ・ムービーXY 光輪の超魔神フーパ』にもルギアが登場するが、このルギアは本作に登場するルギアと同一個体である。
映画内で言及はされないが、脚本を担当した冨岡淳広による『光輪の超魔神フーパ』のノベライズ本にて、同一個体であることが名言されている。映画でのルギアの登場シーンで、『幻のポケモン ルギア爆誕』で使用されたBGMのアレンジ版が流れることも、同一個体であることを示唆していると言える。
ちなみに『光輪の超魔神フーパ』のサントラでは、「命をかけて、かかってこい!」というセリフが登場するらしい。
これが一番説得力があるかもしれない。
劇中の超絶かっこいい技の名前は「ルギアビーム」
劇中でジラルダンに捕らえられたルギアが超絶かっこいい光線を放つ。
当時小学生だった私はこのシーンに心を奪われ、両親に懇願し、なんとか3回の映画鑑賞に成功したことを覚えている。今回の記事執筆のため映画を十何年ぶりかに見返したわけだが、唯一はっきりと覚えていたのは、やはりルギアが光線を放つシーンであった。
当時はまだ『ポケットモンスター 金・銀』が発売されておらず、ルギアは映画のオリジナルキャラとして生み出されたポケモンだった。つまり、今では有名なルギア専用技「エアロブラスト」が存在していなかったのである。
金銀発売後は、「あれは絶対エアロブラストだ!」「いやいや、まだ発売される前だから、はかいこうせんだろ!」というやり取りがされたのだろうが、なんとこの技には正式名称が存在したのである。
その名も「ルギアビーム」。
うーん、ダサい!!!
ジラルダンが拾ったミュウのカードは何だったのか
映画の終盤にて、ルギア、サンダー、ファイヤー、フリーザーをコレクションすることに失敗したジラルダンが「ミュウのカード」を拾うシーンがある。
劇中では、これが何を意味しているのか描かれることはなかったが、実はこのカード、元からジラルダンの所有物でコレクターを志すきっかけとなったアイテムなのだ。このカードを久しぶりに手にとったことで初心を思い出し、またコレクターとして邁進しようと決意したのではないかと思われる。つまり、ジラルダンは本件において全く懲りていないのである。
ちなみに、2002年公開の映画『水の都の護神 ラティアスとラティオス』のエンディングにて、雑誌の写真にジラルダンが写っている。
しぶとすぎるぞジラルダン。
“海の神”ルギアはなぜ「みずタイプ」ではないのか
深海に住んでいて、海の神と呼ばれていて、海を操ることもできる。これだけの条件が揃っていながらルギアは「みずタイプ」ではない。ルギアのタイプは「エスパー・ひこう」なのである。まだドラゴンタイプなら頷けたのに・・・。
どう考えてもおかしいのだが、これには公式によって明かされた2つの理由がある。
まず、公開当時発売されていた「ポケットモンスター 赤・緑」において、特に強いとされていたのがエスパータイプだった。ありきたりなみずタイプよりも、最強にふさわしいエスパータイプを選んだのだ。劇中でルギアがテレパシーを使ってサトシたちと会話できるのも、エスパータイプの能力が影響しているのだとか。
2つ目は、ルギアと対をなす存在であるホウオウの影響である。ホウオウのタイプは「ほのお・ひこう」であるため、ルギアをみずタイプにしてしまうとパワーバランスがおかしくなってしまう。そのため、ほのおタイプとの相性に左右されないエスパータイプとなったのだ。
【感想】様々な要素を“共存”というテーマに収束させ、等身大のサトシの成長を描いた傑作
ルギアがとんでもなくカッコイイ!ってのは周知の事実なので、美しいフォルムがどうとか、ルギアビームに震えたとか、総合的に神レベルだとか、あえてここで割愛する。
『幻のポケモン ルギア爆誕』のテーマは“共存”である。
本作では多くの魅力的な要素が描かれており、伝説のポケモンであるファイヤー・サンダー・フリーザーによる世界のバランス、人間とポケモンの関係性、サトシに対するカスミの心理描写、ロケット団との共闘、親子愛など多岐にわたるが、そのすべてが共存というテーマに繋がっている。
もちろん物語において要素が増えれば増えるほど全体のバランスを保つのが難しくなってくるわけだが、それらの要素を一つのテーマに収束させることで、非常にバランスよくまとめられているのだ。
ストーリー構成も秀逸で、子どもに優しく明快かつテンポも良い。そこに大人でも楽しめるよう上記の要素をからめることで、スパイスを効かせているのである。
なかでも初代アニポケファンとして特に気になったのは「サトシに対するカスミの心理描写」だ。
サトシにとってカスミは、故郷のマサラタウンを出て初めて出会った“仲間”なわけだが、そこへ映画オリジナルキャラの「フルーラ」が現れてサトシにちょっかいをかけたもんだから、カスミがサトシの存在を意識し始めてしまう。カスミもまだまだ子どもで自分の感情の本性が何なのか分からず悩み始めてしまうのだ。もちろんサトシは恋愛に全く見向きもしない安定の砂利ボーイなわけだが・・・。ファンにとってやっぱりサトシとカスミの関係性はちょっと気になるポイントなのではないだろうか。
そしてもう一つポイントを挙げるとすれば、「ロケット団との共闘」という超胸アツ展開だ。
いつもは邪魔ばかりのロケット団だが、劇場版ともなればちょっと良いところを見せてくれたりもする。
だが本作においては良いところどころか、名脇役と言わざるを得ないほどの大活躍と明言を残してくれた。終盤のサトシママの一言も感動を誘う名言だが、ロケット団が去り際にサトシへ放った「あんたが主役ーーー!」は、もう勢いでネタバレしてしまったが最高の名言だと私は思う。経緯が気になる人はぜひ本編でチェックしてみてほしい。
さきも述べたように本作で描かれる要素は様々なベクトルのものが存在するが、そのどれもが共存へと繋がる。ポケモン同士の共存、ポケモンと人間の共存、人間同士の共存、敵と味方の共存、親と子の共存・・・。私たちが暮らすこの世界でも大切なテーマである“共存”について、改めて考えさせられる素晴らしい映画であった。
あと、普段威勢が良くて無鉄砲気味なサトシが本作では年齢相応の等身大の面をみせてくれるので、その点にも注目してみると面白いのではないだろうか。
おわりに
『幻のポケモン ルギア爆誕』は、ポケモン映画のなかでも自信をもってオススメできる作品のひとつである。
「懐かしいなぁ」と物思いにふけるも良し、「こんなのあったっけ」と映画を見返すも良し、今となっては数多のポケモン映画に埋もれてしまった本作が、本記事によって再び日の目を見るきっかけとなれば幸いである。
まだ観たことがないという人も、ポケモン好きなら観て絶対に損はないので、ぜひ。
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※本ページの内容は、2021年3月1日時点の情報です。最新の情報は、dTVの公式ページにてご確認ください。