『スラムドッグミリオネア』は実話?ラストシーンがなぜダンスなのか

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インドの街並み

※この記事はネタバレを含みます。

 

数々の作品賞を受賞し、アカデミー賞では8部門にて受賞を果たした映画『スラムドッグ$ミリオネア』

「ファイナルアンサー?」が流行語となり、日本ではみのもんたさん司会で人気を博した番組『クイズ$ミリオネア』を思い出す人も多いのではないでしょうか。クイズミリオネアはもともとイギリスで放送されていたクイズ番組『フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア』をもとに、日本版として制作されました。映画『スラムドッグミリオネア』は、この番組のインド版である『コウン・バネーガー・カロールパティ』を舞台に「スラム街出身の青年がなぜ全問正解することができたのか」について語られるお話です。

今回は『スラムドッグミリオネア』を観ると多くの人が気になるであろう「この物語は実話なのか」「ラストシーンの意味とは」「エンディングでなぜ踊ったのか」について解説します。

 

『スラムドッグミリオネア』ってどんな映画?

【あらすじ】
インドのスラム街で生まれ育った青年『ジャマール・マリク』は、大人気番組『クイズミリオネア』に出演する。数々の難問を突破し最終問題まで辿り着いたジャマールであったが、不正を疑われ警察に捕まってしまう。なぜスラム育ちの青年が難問に答えることができたのかと問い詰められたジャマールは、これまで過ごしてきた壮絶な人生について語り始めるのだった。

【基本情報】
監督:ダニー・ボイル
出演:デーヴ・パテール、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピントー
製作国:イギリス
公開:2009年

 

『スラムドッグミリオネア』は実話ではない

『スラムドッグミリオネア』を観ていると「もしかして実話なのでは?」と思えてきますが、実際はインド人外交官であるヴィカス・スワラップの『ぼくと1ルピーの神様』という小説を原作としたフィクションです。つまり実話ではありません

 

こんなに都合よく問題が出されるなんて完全に「ご都合主義」じゃないかって思いますよね?私も映画の終盤まではそう思っていました。しかし、この「ご都合主義」こそが『スラムドッグミリオネア』のキモであり、ラストシーンで明かされる答えに繋がっていきます。「なるほど、そういうことだったのか」と納得に変わるんです。

まぁたしかにこの映画が実話だったら、ラストシーンの感動も比じゃないし、映画自体の評価もさらに高くなっていたかもしれませんね。

 

問0の答え「D:運命だった」ですべてが繋がる

ラストシーンでジャマールはやっとの思いで再開を果たしたラティカに「僕たちの運命だよ」と伝えます。この後の字幕では「D:運命だった」と表示されます。記憶力の良い方はこの瞬間に「おぉぉぉ!」と気付くと思いますが、「え、何?」となる方もいるのではないでしょうか。私は記憶力がめちゃくちゃ悪いので、これが何なのか完全に忘れていました笑。実はこれ、映画冒頭で流れる問題、いわゆる問0(ゼロ)の答えとなっているのです。

彼はあと1問でミリオネア。なぜ勝ち進めた?
A:インチキした
B:ツイていた
C:天才だった
D:運命だった

これ、あなたは覚えていましたか?

この問題の答えが『スラムドッグミリオネア』のご都合主義を根本からひっくり返し、すべての物語をひとつに繋げてくれたのです。ジャマールがこれまで目を背けたくなるほど壮絶な人生を過ごし、乗り越えても乗り越えても打ち砕かれ、それでも諦めず乗り越えてきたからこそ「運命」に辿り着くことができたんですね。ラストシーンまできてようやくジャマールは「報われた」わけです。

これが、「運命」という名の「ご都合主義」こそがこの映画のキモであるという理由です。

 

エンディングのダンスはインド映画へのオマージュ

ラストシーンを終えて「あー良い映画だったー・・・・・・って何これぇぇぇ!?」ってなった方は少なくないはずです。感動の後で急に大人数で踊りだすんですから、そりゃそうなりますよね。

実はエンディングのダンスにはちゃんと意味があって、これはインド映画へのオマージュなんです。知らない方は驚くと思いますが、インドの映画といえば「歌とダンス」が定番で、多くの映画でダンスシーンが登場します。インドの人にとって歌やダンスは、感情を表現するときにもよく使われるなど、切っても切り離せないほど身近な存在なのだそうです。世界で2番目に人口が多いインドには多くの国の人が住んでおり言語も様々なため、言語を必要としないコミュニケーションとして「ダンス(踊り)」という文化が根付いたようです。なんとインドの映画館では、上映中に観客たちが映画に合わせて踊り出すなんてこともあるそうですよ。

『スラムドッグミリオネア』はイギリス映画なわけですが、インドを舞台としているためこのような演出がなされたのです。いろんな意味でサプライズ的な演出ですよね。

 

▼日本で有名なインド映画といえば

 

さいごに

『スラムドッグミリオネア』は、主人公であるジャマールとヒロインのラティカとのラブストーリーであり、厳しいインドの実情を描いた社会派ドラマでもあります。しかし私は「兄弟愛」を描いた映画でもあると思います。兄のサリームには何度も「なんてやつだ!」と思わされましたが、結果的に彼は一貫して弟のことを想い続けていたんですよね。表の主人公をジャマールとするのであれば、サリームは裏の主人公と言えるのではないでしょうか。残念ながら、悪にも手を染めてしまったサリームが報われることはありませんでした。彼がどんな想いで生きてきたのかは詳細には描かれていませんが、彼もまたとてつもない苦労をしてきたはずです。

もう一度観る機会がありましたら、ぜひともサリームの活躍にも注目してみてくださいね。

 

 

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