突然ですが、あなたには誰にも言えない悩みがありますか?
仕事で壁にぶち当たったり、友人や恋人と大きな喧嘩をしてしまったり、誰しも何かしらの悩みを抱えているのではないでしょうか?
今回は、そんな悩みを少し軽くし、前に進む勇気をくれる映画「くちびるに歌を」の3つの見どころをご紹介します。
「くちびるに歌を」ってどんな映画?
長崎県のとある島の中学校に通う「仲村ナズナ」は、合唱部の部長をつとめている。
そんなある日、顧問の「松山ハルコ」が産休に入るにあたり、臨時教員として「柏木ユリ」が合唱部の指導をすることに。
東京でプロのピアニストとして活躍していたユリが顧問となると知り、期待に胸を膨らませる合唱部部員であったが、ユリはピアノを一切弾かずに練習をただ見ているだけであった。ユリはある事件をきっかけに、ピアノを弾けなくなっていたのだ。
それを知ったナズナたちは、合唱コンクールの課題曲「手紙 〜拝啓十五の君へ〜」を通して、自分と向き合い、周囲の人と向き合い、合唱コンクールをめざして互いに歩み寄りはじめる。
…というお話です。
NHK全国学校音楽コンクールの課題曲であり、劇中でも登場する楽曲「手紙 〜拝啓十五の君へ〜」の作者であるアンジェラ・アキさんと、合唱コンクールを目指す中学生たちとの交流を描いたドキュメンタリー番組をもとにした小説が原作です。
新垣結衣さん演じる臨時教員「柏木ユリ」や合唱部員たちそれぞれの心の葛藤と成長を描いた、子どもから大人まで幅広い世代に見てほしい感動作です。
3つの見どころ
丁寧に描かれる心の動き
全体を通してゆっくりと進んでいくこの映画は、大きな展開こそありませんが、登場人物の個性や物語の中での心の動きをとても丁寧に描いています。
母を亡くし、父は浮気相手と家を出ていったために、祖父母のもとで暮らす中学生「仲村ナズナ」の、寂しさや悔しさを抱えながらも前に進もうと上を向く姿。
とある事件をきっかけにピアノを弾けなくなってしまった臨時教員「柏木ユリ」の、なかなか一歩が踏み出せずにいる自分とたたかう姿。
地味で目立たないが誰よりも優しく、自閉症の兄を大切に想っている「桑原サトル」の、自分は兄の手助けをするために生まれてきたではないかと思いながらも、自分がやりたいことに挑戦したいと悩む姿。
情報量が多いわけではないけれど、ゆっくりとていねいに描いているからこそ、登場人物の繊細な心の動きや表情に惹きつけられるのだと思います。
皆それぞれ悩みを抱えている
「くちびるに歌を」では、主にナズナ、ユリ、サトルの3人にスポットが当てられています。
過去の出来事や現在の悩み、それを乗り越えようと頑張る姿を見ていると、この3人はこんな悩みを抱えながら精一杯生きているんだなぁと考えさせられます。
でもこれって、この映画では3人のことが描かれているだけで、本当は登場人物ひとりひとりに言えることだと思います。
3人がそうだったように、みんなそれぞれ何かを抱えていて、表には出さなくても懸命に生きているのです。
そしてこの映画を見た全ての人たちに向けて、「君はひとりじゃないよ」と伝えているのだと思います。
エンドロールまでが本編!
ラストに流れるエンドロールでは、劇中で合唱曲として登場する「手紙 〜拝啓十五の君へ〜」をエンディング曲としても使用しています。
この曲をアンジェラ・アキさんが歌っているのですが、歌詞だけではなくて歌声やメロディーが、まさに「くちびるに歌を」のすべてを表現していて、エンドロールを飛ばしてしまうなんて本当に勿体ないのです。
エンドロールを見てこそ、この映画は完結するのです。
ぜひ、最後まで見てみてください!
原作と漫画もおすすめ!
原作ももちろんおすすめなのですが、この作品はモリタイシ先生の作画でコミカライズ(全3巻)もされています。
気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!
「自分だけなんでこんなに辛いんだろう」と考えてしまうことは誰にだってあります。
いつも元気そうに見える人も、何かしら悩みがあって、きっと懸命に生きているのです。
そう思ったら、少しだけ頑張れそうな気がしてきませんか?
休むことももちろん大切ですが、一歩踏み出したいときには映画「くちびるに歌を」が、きっとあなたに力をくれると思いますよ!