字幕それとも吹替?『名探偵ピカチュウ』感想となぜポケモンに毛を生やすのか

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ライムシティのようなネオン街

「はじめまして! ポケット モンスターの せかいへ ようこそ!」

1996年、記念すべき第1作目となる『ポケットモンスター 赤/緑』が発売された当時、オーキド博士のこの言葉にどれだけの人がワクワクさせられたことでしょう。その頃小学生だった私は、ゲームボーイを手に初めてのポケモンを夢中になってプレイしていました。ヒトカゲを選んだばっかりに初っ端からタケシの岩タイプポケモンに苦しめられたり、500円で買ったコイキングの「はねる」に言葉を失ったり、シオンタウンのBGMが怖くて音量ゼロにしたり、「交換中に通信ケーブルを抜いたらポケモンが出てくるんだぜ」とか言って騒いだり、大人になった今でもよく覚えています。

そんなポケモンが、まさかハリウッドで映画化するとは・・・小学生の私は夢にも思わなかったでしょう。「ポケモンの実写映画化」となれば、たとえ実写化への不安があったとしても観ないわけにはいかない。かつてポケモントレーナーだった大人たちが再び立ち上がり、またポケットモンスターの世界に帰ってくる。そんな現象が起こり得るほど「ポケットモンスター」というゲームにはとてつもないパワーがあるのです。(ちなみに私は、30歳過ぎた現在もポケモントレーナーですが。)

今回の実写映画化では、ニンテンドー3DSのソフト『名探偵ピカチュウ』が原作となりますが、映画を観るにあたって迷うのが「字幕版」と「吹替版」のどちらを観るか

そもそもハリウッド映画だから字幕で観たい気持ちもあるけれど、海外ではポケモンの名前が少し違うらしいし、せっかくなら慣れ親しんだ名前で楽しめる吹替版にすべきか・・・。でも、ライアン・レイノルズがモーションキャプチャを使ってピカチュウの表情まで演じているわけで、それなら声もレイノルズの字幕版にすべきか。

迷ったあげく両方観たので「字幕版」と「吹替版」のどちらがおすすめか、感想と共にネタバレなしでご紹介します。

さらに、みんな薄々気になっている「なぜポケモンに毛を生やすのか」も考察してみました。

あなたは「毛」賛成派?それとも「毛」反対派?

 

『名探偵ピカチュウ』ってどんな映画?

誰もが知っているポケモンの実写版ハリウッド映画であり、原作はニンテンドー3DSソフト『名探偵ピカチュウ』である。主人公の青年ティムとピカチュウが、行方不明になった父親を探す物語。

引用元:MIHOシネマ

【作品情報】
監督:ロブ・レターマン
原作:ニンテンドー3DS『名探偵ピカチュウ』
出演:ジャスティス・スミス、キャスリン・ニュートン、ライアン・レイノルズ、渡辺謙、竹内涼真
公開:2019年

 

『名探偵ピカチュウ』を観るなら吹替版がおすすめ!

なんやかんや迷った結果、「字幕版」→「吹替版」の順に両方観てみたのですが、「1度しか観ない」又は「最初に見る」なら吹替版がおすすめです。

『名探偵ピカチュウ』には、メジャーなポケモンからマイナーなポケモンまで50種類以上ものポケモンたちが登場します。あんなところにこんなところにと、ストーリーを楽しみつつもポケモンを目で追うことに大忙し。ポケモンに夢中で字幕を見逃すなんてことになる可能性も・・・(私がそうでした)。そう考えると字幕版よりも吹替版で観る方が、音声を聞きながらポケモンも探すこともできるので、物語に置いていかれる心配もありません。字幕を見ながらポケモンを探すのはなかなか至難の業ですからね。

特にポケモンファンの方は、字幕とポケモンに振り回される可能性が非常に高くなるので、ぜひ「吹替版」で観ることをおすすめします。

 

なぜピカチュウに毛を生やすのか

「ハリウッドはすぐ毛を生やす」

そう思った人は少なくないはず。

ポケモンに限らず、海外はモンスター的なキャラクターを描く上で、なぜか毛を生やしてしまう。ファンサイトなどでネットにアップされたイラストを見ていると、そんなイメージをよく受けます。実際、『名探偵ピカチュウ』においても、ポケモンのリアルなイラストをSNSなどにアップしていた「RJ・パーマー」という人が、画像検索をしていた制作スタッフの目に留まり、オファーを受けることになったという話もあるそうで。

日本人から見て、あまりにリアルなイラストは苦手意識が強いのではないでしょうか。ピカチュウについては、初めて毛の生えたデザインを見たときに違和感があったものの徐々に可愛く思えてきたので良しとして、ベロリンガの肌質とか、ゲッコウガの粘液とか、リアル過ぎて若干気持ち悪い・・・。まぁゲッコウガなんてモデルがカエルなんだから粘液を纏っていても間違いではないんですけどね。

恐らくこういった印象を受けてしまう原因は、海外と日本とでは「リアル」という表現のベクトルが違うからだと思います。要するに日本でアニメチックなコンテンツを実写化したら、こうはならないということです。

日本では、アニメとしてキャラクターとしての性質は残しつつ立体化(3D化)させるのが特徴のように感じます。あくまで、デジタルな存在が私たちの現実世界に飛び出してきたイメージです。以前ポケモンとコラボしていた「日本ガイシ」のCMが良い例です。

これはこれで「リアル」な表現であることに間違いないんですよね。

ポケモン以外ではデジモンのCMでも同じようなものがありました。

 

ハリウッド(海外)はというと、どこまでも現実的なリアルさを追求しているのが特徴のように感じます。『名探偵ピカチュウ』の監督であるロブ・レターマンの「現実に存在する質感を当てはめてみるところから始めました。動物、植物、鉱石など、自然界由来の質感で検討したんです。」という言葉のとおり、現実世界に飛び出してきた存在ではなく、私たちの世界に初めからいた存在というイメージなのでしょう。

余談ですが、こういった「リアル」な表現のベクトルの違いが原因で起きたと考えられるのが、『名探偵ピカチュウ』と同じくゲームが原作の実写映画『ソニック・ザ・ムービー』に登場する「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のキャラクターデザイン問題です。当初公開された予告動画では、ソニックのデザインへの反対意見があまりに多く、結局ソニックのデザインを再検討する形になってしまいました。ソニックといえば、大きな頭に大きな目、細長く伸びた手足に大きめのグローブと靴が特徴的ですが、実写化当初のデザインはというと、顔や目が小さくなり、体は人に近い形に変更されています。おそらく、架空の生物ではなく、より現実に近い存在として人型に近づけた結果なのでしょう。

失敗例である『ソニック・ザ・ムービー』と違い、『名探偵ピカチュウ』は結果的に好評を得ることになりましたが、「なぜ毛を生やすのか」という点については、日本とハリウッドとで「リアル」の表現に対する考え方に違いがあるからというのが大きいのではないでしょうか。

 

「ライムシティ」という設定の巧さ

まずポケモンがモンスターボールに入らない、戦わない、人間との共存という設定のライムシティ、これが非常に巧い

ポケモンを知る人の一般常識で言えば、主人公はポケモンを捕まえ、育て、戦わせながら、腕試しにジムを巡ってバッジを集める。そのバッジを8つ全て集めることで挑戦できる「ポケモンリーグ」という猛者が集まる舞台で、チャンピオンを目指す。その傍ら、物語の中で登場する悪の組織「ロケット団」を退治したり、ポケモン図鑑完成のためダンジョンを巡ったりする。だいたいこんなイメージだと思います。

しかしライムシティという街の設定にはそれがない。むしろそうすることでポケモンの一般常識を必要としない、つまりは今までポケモンをあまり知らなかった人でも受け入れやすいような土台を作ることができるのです。加えて探偵というミステリー要素を織り交ぜることで、ストーリーにも入りやすくしています。もちろんオチもしっかりしているので、ストーリー自体の見応えもバッチリです。

そしてポケモンファンにとって特に嬉しいのは、『名探偵ピカチュウ』で描かれるのが「私たちが夢見たポケモンの世界そのもの」だということです。当たり前のことですが、映画に登場する生物すべてがちゃんとポケモンなのです。これはポケモンの実写映画を実現する上で、必須条件であると共に非常に難しい課題であると思います。映画を見れば分かるのですが、一匹一匹のクオリティが非常に高い、ちょい役のポケモンにも決して手を抜いていない。それもそのはず。登場するポケモンのデザインについては、株式会社ポケモンから徹底したクオリティチェックが入り、詳細な情報が記されたポケモン図鑑をもとに、体重、身長、習性まで落とし込むこだわりっぷり。ちなみに、この段階でピカチュウをはじめポケモンたちに毛を生やすのかどうかが一応検討されていたようです。

ポケモンがモンスターボールに入らない街「ライムシティ」で、これだけ多くのポケモンを目にすることができる楽しさは、ファンのみならず、ポケモン初心者にも伝わるのではないでしょうか。

 

原作ゲームや最新作『ソード/シールド』もおすすめ!

ポケモンのゲームをやったことがないという人も、映画『名探偵ピカチュウ』を見て、少しポケモンの世界に興味を持ったのではないでしょうか?

今回原作となったのは、ニンテンドー3DSの同名ソフトですが、これまでポケモンでは本編シリーズとして計8作(各2〜4バージョン)のゲームが発売されてきました。

  • 赤/緑/青/ピカチュウ(リメイク版:ファイアレッド/リーフグリーン/Let’s Go!ピカチュウ/Let’s Go!イーブイ)
  • 金/銀/クリスタル(リメイク版:ハートゴールド/ソウルシルバー)
  • ルビー/サファイア/エメラルド(リメイク版:オメガルビー/アルファサファイア)
  • ダイヤモンド/パール/プラチナ
  • ブラック/ホワイト(続編:ブラック2/ホワイト2)
  • X/Y
  • サン/ムーン(続編:ウルトラサン/ウルトラムーン)
  • ソード/シールド

基本的に物語はそれぞれが独立した単発モノとなっているので、もしこれからプレイしようという人は、Nintendo Switch版の最新作『ソード/シールド』から始めても全く問題なく楽しめると思いますよ。

ストーリーも毎シリーズ見応えのある内容となっていて、クリア後もやり込み要素はたくさんあります。新たなダンジョンに挑むもよし、ポケモンを集めて図鑑を完成させるもよし、新しいポケモンを育てるもよし、育てたポケモンで戦略を練り友達との対戦やオンライン対戦を楽しむもよし、と、むしろクリアしてからが本番と言ってもいいほど、充実した内容となっています。

ポケモンの対象は子どもだけではありません、大人にこそ楽しんでほしいゲームなのです。

ぜひ、ポケットモンスターの世界に飛び込み、その醍醐味を味わってほしい。やってみれば、ポケモンの奥深さにきっと気がつけるはずです。

ポケモンファンのひとりとして、映画『名探偵ピカチュウ』がそのきっかけとなってくれたら嬉しいです。

 

 

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